田村光彰さんの第一回講演から
ご老体 : 2009/10/07(Wed) 08:02
No.121
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昨日(2009年10月5日)は、「くるま座」で田村光彰さんの連続講演会「戦争にもルールがある」の第1回目の講義が行われた。
<戦争と国際条約 戦争の違法化の歩み 国際人道法>と題して、田村さんが作ったレジュメと、ビデオを活用して、講義が行われた。
18人の方が参加し、1時間30分の講演後活発な議論が1時間ほど続いた。
はじめに、戦争(武力紛争)を巡る三つの視点が紹介された。
T 戦争は合法である 宣戦布告をすれば、戦争の拡大も可能である U 戦争は否定できないが、その被害を防ぐため、戦争を起こさせないための種々の制限を設ける V 戦争を全面的に否定する
田村さんは、Uの視点が、国際人道法につながることを歴史の推移とともに詳細に紹介した。
様々な規定を詳細に設けること、例えば、占領地では、物品の無償徴発や賦役を禁止し、なるべく即金で支払い、少なくとも領収書の交付を義務付ける(笑いが起きる)や、生命や家族の名誉を尊重すること、(これは女性に対する迫害を禁止する項目)であり、これに違反すれば、違反した軍隊を持つ国は、被害者個人に賠償責任を負うことを明らかにした。(「ハーグ陸戦条約」に規定 1912年日本はこれを批准、公布している)
人道に関する規定の出自は戦争を全面的に禁止する流れの中にあったのではなく、個々の歴史の流れのなかにあって、人間を守るところにあったことを明らかにした。 その時々の規定が、戦後の個人の保障の論理につながることを明らかにした。また、採択はされなかったが、『パリ不戦条約』の第一条「締結国は、国際紛争解決の為戦争に訴うることを非とし」「国家の政策手段としての戦争を放棄する」という条項が、戦争全体の違法性を明らかし、戦争一般の禁止をさだめ、これが「日本国憲法」に結実することを明らかにした。また、この不戦条約では自衛権の明確な規定がなされていないことを紹介した。
個々の交戦行為の「人道化」の過程を紹介し、それが1998年の国際刑事裁判所設立条約(ローマ規定)の採択に至る過程を詳細にした。
2002年7月1日 ローマ規定発効 1)ニュルンベルグ裁判(臨時)から常設の国際刑事裁判所の設置 2)国家犯罪に対して、個人が責任を有する 3)非暴力により市民益を増幅させる 4)扱う対象を <1>集団殺害(ジェノサイド) <2>人道に対する罪 <3>戦争犯罪 <4>侵略戦争 但しその定義は今後定める
条約の歴史の中に、今があることを確認する作業は、とても面白かった。
また、映像の紹介で、戦争のあり方の変遷を知ることができた。田村さんのいう「馬と大砲」から1914年の第一次世界大戦での「大量破壊兵器の出現」が目に見ることができたのは、是非多くの方にこの映像を見てほしいと思った。
塹壕の中で絶えず機関銃や戦車の音を聞いていると兵士が、「セル・ショック」と呼ばれる精神障害に陥り、機械仕掛けの人形のようになり、意味不明の言葉を発したりする映像には、戦闘ストレスの実態として大きなショックを受けた。これは、イラクでもアフガンでも今も続いている実態なのだ、と思うとやりきれない。 「くるま座」で 3月にDVD上映会を行った「告発のとき」を改めて想起した。
1時間30分の講演の後、各自の疑問、見解を述べたが、これが面白かった。
捕虜に対する見解、天皇の責任の話、南京虐殺の話、歴史上生まれた無防備都市の話、パリ、沖縄前島の具体例等々(いずれ、発言内容を整理して討論の素材としたい)
是非、次回からの講演会に多くの方の参加を望みます。
2009.11. 9(月) 第2回 人道に対する罪 19:00〜20:30 国際刑事裁判所への歩み
2009.12. 7(月) 第3回 戦後処理と国際人道法 19:00〜20:30 『シンドラーのリスト』への歩み
2010. 1. 7(月) 第4回 ジュネーヴ4条約と議定書 19:00〜20:30 敵味方を問わず住民保護への歩み
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