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再び 池上さんからのメールです 日本政府による二つの「軍事的対応」とアジアにおける二つの「非軍事的対応」   ご老体 : 2009/04/02(Thu) 08:59 No.39
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うし   日本政府による二つの「軍事的対応」と
     アジアにおける二つの「非軍事的対応」
 
                  2009年4月1日
                       池住義憲

●政府による最近の二つの「軍事的対応」

>  今年3〜4月にかけての1ヵ月で、日本政府は二つの「軍事的対応」を行っています。一つは、ソマリア沖の海賊という犯罪行為対策のために、哨戒ヘリコプター計4機を搭載した海上自衛隊護衛艦2隻を派遣するという軍事的対応です。(注1)
>  もう一つは、4月4〜8日と予告されている朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の人工衛星用ミサイル発射失敗に備えて、弾道ミサイル等破壊措置命令の発令と、迎撃用の地対空誘導弾パトリオットミサイル3(PAC3)の配備、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載のイージス艦2隻の配備という軍事的対応です。
>  こうした日本政府の軍事的対応の一方で、対照的にアジアでは二つの「非軍事的対応」が進行しています。一つは東南アジアにおける「平和の共同体づくり」の動き、もう一つは中央アジアにおける「非核地帯条約」の発効です。
>
> ●アジアにおける非軍事的対応(1): 東南アジアにおける「平和の共同体づくり」
>
>
>  ヴェトナム戦争終結(1975年)の翌年、「東南アジア友好平和条約」(TAC、1976年)が締結されました。東南アジア諸国連合(ASEAN、1967年設立)加盟5カ国でスタートしたTACは、いまやASEAN加盟10カ国以外にも、東ティモール、パプア・ニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド、日本(2004年加入)、中国、韓国、ロシア、モンゴル、インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、フランスの14カ国が加入し、計24カ国となっています。トルコ、欧州連合(EU)、米国も加入を検討しています。
>
>  条約には、1)武力による威嚇または武力の行使の放棄、2)紛争の平和的手段による解決、を明記されています。戦争放棄を定めた日本国憲法と似ています。 加入国間で争いが起きても、「武力による
> 威嚇」や「武力の行使」を慎み、常に加入国間で友好的な交渉を通じて紛争の解決に当たる。当事国だけで解決することが難しい場合は、加入国の閣僚級代表でつくる理事会が仲介する。もし域外から「脅威」があったら、TAC加入国は集団的に軍事力で対応することはしない。その代わり、戦争放棄を決めた条約(TAC)の加入国を増やしていくことに全力を傾ける。そうすることで平和を実現する。これがTACの基本精神、基本姿勢です。
>
>  紛争解決は、非軍事的手段、平和的手段、相互不可侵、政治・経済協力で対応する。TACと日本国憲法は、アジア・太平洋地域で平和と安定を高め「平和の共同体」を創る規範です。DPRKとソマリア沖への対応を、日本政府はいま一度、憲法という原点に立ち戻って再検討し、根本的に見直さなければなりません。
>
> ●アジアにおける非軍事的対応(2): 中央アジアにおける「非核地帯条約」の発効
>
>  去る3月21日、「中央アジア非核地帯条約」が発効しました。カリブ海・中南米(1967年署名、1968年発効)、南太平洋・オーストラリア(1985年署名、1986年発効)、アフリカ、東南アジア(1995年署名、1997年発効)についで世界で4番目です(アフリカは1996年署名ですが未発効)。
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>  北半球で初めての非核地帯です。対象地帯の国は、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの5カ国。旧ソ連時代に大量の戦略核兵器が配備され、ソ連解体時(1991年12月)には世界で4番目といわれる核弾頭が残され、また旧ソ連最大の核実験場だったカザフスタンを含むかつての核保有地帯に非核地帯ができたことは、大きな意味を持ちます。
>
>  これら5カ国の安全保障の基礎は、核兵器貯蔵ではなく、「平和外交政策」と「経済と政治の持続的発展」です。具体的には、締約国による核兵器もしくは核爆発装置の研究・開発・製造・貯蔵・取得・所有・管理の禁止、及び自国領域内における他国の放射性廃棄物の廃棄許可等をすべて禁止する、というものです。同時に、核保有国に核軍縮努力を求めた「核不拡散条約」(NPT)の全面支持を謳い、「包括的核実験禁止条約」(CTBT)の完全順守を求めています。
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>  日本(被爆国)はどうか。政府は依然として米国の「核の傘」から離脱するどころか、日米軍事同盟関係強化の方向です。どうしたらいいか。どういう対応がふさわしいのか。
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>  山内敏弘さん(龍谷大学法科大学院教授)は、『平和憲法の確保と新生』(注2)のなかで、日本を含む東北アジア地域を非核地帯にする条約を締結することだと提起しています。そうすることが日本国憲法の平和主義を守るとともに、東北アジア地域に持続的な平和と安定をもたらすとしています。そして、憲法9条が東北アジア非核地帯条約締結の有益な指針となると述べています。
>
>  私は、まったく同感です。軍事対応ではなく、憲法が支配する非軍事的な代替案を私たち市民が訴え、主張し続けていくことが、今、まさに求められていると思います。9条を生かした外交しか、ない。それが世界における日本の役割、使命です。
>
> 注1: ソマリア沖の海賊問題については、前回メール通信「自衛隊法に基づく海上警備行動での海自派遣と「海賊対処法案」は違憲・違法の疑いが強い」(2009年3月14日発信)をご覧下さい。まだ受信されていない方または再送信希望の方はご一報ください。(→ikezumi@mtb.biglobe.ne.jp )
>
> 注2: 『平和憲法の確保と新生』(深瀬忠一他編著、北海道大学出版会、2008年、税別3,600円)をお薦めします。日本の現実を平和憲法の理想に近づけていくことを考える上で、必読の書です。
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