くるま座(掲示板)
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「この自由な世界で」鑑賞記   もりもり : 2009/06/14(Sun) 23:40 No.90  HomePage
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くま  定期的に開いているくるま座でのDVD鑑賞会。今日は、午後から半沢さんの端的な解説入りでイギリスの社会は映画監督ケン・ローチの2007年作品「この自由な世界で」を鑑賞し、討論会をもった。
 「この自由な世界で」は、セクハラに抗議して解雇されたシングルマザーの主人公が、自ら移民を対象とする労働者派遣業を起こし、良心の呵責も抱えながら、報復にもあいながらも、最後は派遣業をさらにエスカレートさせていくというストーリーだ。ここでいう自由とは、イギリスも本家の一つである新自由主義のことを指す。人間の労働力を商品とし、いわば人身売買から紹介料をピンハネし、最低の労働コストのためにトレーラーハウスに不法滞在者を住まわせる。資本主義社会の中で積み上げられてきた人権思想が、労働規制となり、世界人権宣言や国際労働機関(ILO)の労働力の商品化禁止規定となって、不法な賃金の買い叩き、劣悪な労働環境を規制する法制度つくられてきたが、そこからの自由がネオリベラリズムだ。
 この作品では、移民労働者を低賃金と危険な労働現場で酷使する資本の側を描いてはいない。主人公は労働者を派遣する側だ。そして、親子の命を脅かされるような報復にあっても、派遣業で生きていくことを決意する幕切れだ。このメッセージをどう解釈するのか。作品に込めたローチ監督のメッセージについて、様々に意見が出た。世知辛い競争社会でハンデある者が生き延びて行くには、労働力市場でピンハネ業に手を染めるしか選択の余地はない社会。それが新自由主義の非人間的な本質であることを監督は描いているに違いない。
 労基法や職安法の理念に背いて労働者は兼業を合法化し、労働者保護の国際条約も批准せず、したがって、満足な労働者の権利教育も行われない日本社会で、非正規労働者のおかれた立場の劣悪さは、一層深刻な問題だろう。

 私たちは今、身近なところで弄ばれて苦しんでいる当事者に関わっている。日本社会でこの不条理を変えるには、組織された労働運動が企業別組合の制約、本工中心主義を克服して団結すること、組織されていない圧倒的多数の働く市民が、雇用関係法の変革の意思を掲げて社会運動に立ち上がること以外にはない。来るべき総選挙をそんな変革の全社会的な闘いのステージにできるのか。私たちも、労働市民も問われている。
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