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この経済不況下のご時世に、実にタイムリーな選択で開始された輪読会だった。 「くるま座」の教育係、半沢先生のしごきに耐えて、読了したメンバーの皆さま、本当にお疲れ様。著者の内橋克人氏が「NHK放送文化賞」を受賞された朗報も加わり、有意義なスタートが切れたことを素直に喜びたい。次回の船出はいささか大変だが、めげずに漕ぎ出そうね、ご同輩。先生のレベルアップのためにも、脚を引っ張ることを目標に──。 事前に一度詠み終えてはいたが、やはり経済用語や時代背景、関連事件などの把握が出来ておらず、指摘されて初めて相互の関係に気づいたこと多々であった。無我夢中で歩んできた個人的な生活が、日本のみならず世界の巨大な経済活動の連環の中にしっかり絡めとられていたのだと、改めて認識した次第。我が懐は一向に膨らまないが、一握りの富裕層が生み出す世界の貧困と経済格差拡大の前には、瑣末なことだと納得、諦観している。 内橋氏を初めとするごく少数の良質な専門家を除いて、一般に経済評論家と称する輩の言辞が如何に信用し難いか、今回の輪読会で骨身に沁みた(昔から詠んでもいなかったが)。これを教訓に、今後も続々勃発するであろう大事件はもとより、日々の生活の中で起きる小さな事項にも、現実の把握と事実の分析、真実の探求の眼を持って注視していきたいと考えている。尤もこれを全て実行していたら学者になれただろうが…。 内橋氏は10年に亘り、NHKの朝6時45分からのラジオ番組「経済展望」で週1回、解説を担当されている。優しい語り口で経済の現状を説きながら、既に我々が学習してきたような警告をずっと発せられてきた。かなり聞き流してきただけに、纏まって学ぶことができ、充実感を味わっている。これからも「くるま座」の裏方担当をこなしながら、知的空間を拡げていきたいと念じている。よろしくお付き合い下さい。
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