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くるま座(掲示板)

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【親記事】
半沢さんの本が出版されました その2
ご老体 : 2009/11/22(Sun) 10:53 No.131
  投稿ランキング:51回/−
うし 単独表示 本を紹介する前に、著者には了解を求めていないが、『はじめに』 の全文を紹介します。

   はじめに

 人が道に迷ったとき、そこに求められるのは現実を客観的に見ようとする平常心であり、現実と願望を混同するあせりはないはずです。
 ここで私が問題にしているのは、国民的作家・司馬遼太郎氏の代表作『坂の上の雲』が、本年(2009)秋から三年にわたりNHKスペシャルドラマとして放映されることです。
 『坂の上の雲』は日本とロシアが戦った日露戦争(1904〜1905)を、「坂の上の雲」がイメージされる、日本が世界に雄飛した明るい物語として描いた歴史小説です。
 それをスペシャルドラマとして放映するNHKの意図も、進むべき道が見えなくなった現在の日本人に、この明るい物語によって「日本人のアイデンティティ」を再確認させ、これから歩むべき道を示唆することにあるようです。
 しかしほんとうにそれで良いのでしょうか?
 『坂の上の雲』は日露戦争を日本の祖国防衛戦争としていますが、日本が日露戦争の五年後(1910)に韓国を植民地として併合したことは、誰でも知っています。
 その日露戦争を、日本とロシアが韓国支配をめぐって争った戦争としない『坂の上の雲』は、どこか事実と合わないところがある物語ではないでしょうか?
 いくら日本人が混迷しているからといって、そういったどこか事実とあわないところがある物語によって「日本人のアイデンティティ」を再確認していて、はたして良いのでしょうか?
 こういった疑問を待たれる方もそれなりにおられると思います。
 本書は、『坂の上の雲』にかかわるそういった疑問を、根本に戻って考えなおすために書かれました。
 本書の第一の特色は、司馬氏が『坂の上の雲』を物語る前提とした歴史観と、司馬氏がその歴史観で物語った『坂の上の雲』の個々の事件の叙述について、そのおかしさを体系的に検証したことです。(本書第1〜6言)。
 『坂の上の雲』の歴史観やそれにかかわる叙述を問題にした著作は多数出版されており、好著も多いのですが[41、42、43、44、47、58、64]、歴史観の批判はともかく、叙述のおかしさの指摘が断片的に終わっていることを残念に思っていました。
 一介の数学者である私が本書を書こうと思った第一の理由はそこにあります。
管見では本書が、『坂の上の雲』は歴史観がおかしいだけでなく、その歴史観を維持するためその叙述で歴史事実をねじ曲げていることを、体系的に指摘した初めての本になると思います。
 本書の第二の特色は、『坂の上の雲』を支持する「日本人のアイデンティティ」について、それを原理的なことから考えなおしたことです(本書第7〜9章)。
 『坂の上の雲』にかかおる問題は歴史学だけで分かることではなく、「ロ本人のアイデンティティ」の問題にまで踏み込まなければ分からないと、私は前から感じていました。
 私が本書を書こうと思った第二の理由がそこにあります。
 管見では本書がそのような議論を試みる初めての本にもなると思います。
 本書の第三の特色は、日露戦争終結直後の「連合艦隊解散の辞」にある、「百発百中の砲一門は百発一中の砲百門に匹敵する」という軍事思想に対し、体系的な数学的・歴史学的批判を行ったことです(本書付録)。
 この軍事思想は日本車の非科学的精神主義を増幅したことで有名ですが、これまでまとまった解説が書かれたことはありませんでした。またそれに対する批判は本書本文の『坂の上の雲』批判を、別の側面から補強する上うに思われました。
 そこで数学者が『坂の上の雲』批判の本を書く機会に、この軍事思想に対して体系的な解説を残しておくことが私にとってささやかな義務の上うに思われました。
 管見ではこの付録が「百発百中の砲一門は百発一中の砲百門に匹敵する」という軍事思想に対する、初めての体系的な解説になると思います。
 こうして本書の内容は学際的で多岐にわたりますが、私の非力もあり、冒頭に述べた問題意識に十分応えられたか否かは読者のご判断を待たねばなりません。
 しかし読者がご自分で考えをまとめるための「叩き台」にはなると考えます。なお読者が私の結論をうのみにするのではなく、最後はご自分で判断されるように、議論の典拠や理路はできるだけ明確に示すよう心がけました。
 『坂の上の雲』にかかわる問題に関心を持つ多くの方に、本書が読んでいただけることを希望してやみません。

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