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くるま座(掲示板)

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【親記事】
福祉は経済の「お荷物」か
「くるま座」事務局 : 2010/04/09(Fri) 07:44 No.200
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うし 単独表示 毎日新聞 2010年4月9日 朝刊 くらしの明日 の記事です。



福祉は経済の「お荷物」か

広井良典  千葉大法経学部教授

 
ひろい・よしのり 1961年生まれ。東京大大学院修士課程修了。旧厚生省勤務後、現職。公共政策、科学哲学専攻。主な著書に「コミュニティを問いなおす」(ちくま新書)。    



フィンランドに学ぶ「相乗効果」

 政権交代から半年以上が過ぎ、今後は財源を含め社会保障全体のあり方をどう設計していくかという大きなビジョンが問われる時期となる。そうした構想にかかわる基本論として、これまで社会保障や福祉は概して経済の「お荷物」と考えられ、できる限り「小さい」ほうが経済にプラスとされてきた。果たしてそうだろうか。

 興味深いことに、北欧の福祉国家であり、最近では国際競争力の高さで知られるフィンランドは次のような理念を掲げて政策を進めている。「すべての市民に対する社会保障、無料の学校教育等によってもたらされる市民のしあわせと社会の安定は特許のないイノペーション」であり「福祉社会と競争力は互いにパートナー」というのだ。
 なぜこのような「福祉と経済の相乗効果」という考えが可能なのか。ポイントは2点あると思われる。
 第一は福祉という場合に、できるだけ早い段階での支援を重視している点だ。たとえば同国の場合、大学の学費が無料であることはもちろん、大学生に月額最大811ユーロ (約10万円)の勉学手当を支給している。
 こうした人生の早期における支援は、こうした人生の早期における支援は、平等の実現とともに個人の潜在能力の発揮につながり、社会全体の活力を高める。逆に日本では親の年収と大学進学率との間に明確な相関関係があり、能力があってもそれを仲ばすチャンスが失われる場合がある。

これは「予防」の重視ということでもある。高齢者についても、たとえばケア付き住宅を街の中心部などに整備し、地域の中でさまざまな交流をもちながら生活を営めるようにするこ’とが、介護予防や地域活性化につながる。


 ポイントの第二は生産性という概念の見直しだ。これまで生産性とは「労働生産性」、つまり「少ない労働力で多くの生産を上げる」ことと考えられてきた。しかし、現在の先進諸国では構造的な生産過剰の結果、慢性的なヒト余り (=失業)が生じている。こうした時代にはむしろ人は多く活用し、逆に自然資源を節約することが重要となる。生産性の概念を「労働生産性」から「環境効率性」へ転換す
るのだ。

 そうした発想になると、これまで生産性が低い典型とされてきた介護などの分野にも全く新しい意義が生まれてくる。福祉という人手の多くかかる分野に人的資源を配分していくことこそが、経済にとってもプラスになる。
 これからの時代、従来よりひと回り大きな「福祉と経済」についての発想が、求められているのではないだろうか。

所得格差と大学進学率
東大大学経営・政策}研究センターが09年7月、全国の高校3年生4000人を対象にした調査結果を公表している。年収200万
円未満の家庭では4年制大学への進学率は約3割だったのに対し、1200万円以上の家庭は6割強と倍以上の差があった。

   2010年4月9日 毎日新聞朝刊 くらしの明日から拝借


広井良典さんの本

持続可能な福祉社会―「もうひとつの日本」の構想 (ちくま新書) (新書)

日本の社会保障 (岩波新書) (新書)

 「くるま座」で購入します。

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