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くるま座(掲示板)

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【親記事】
「ソマリア沖への自衛隊派兵問題」(池住義憲)
ご老体 : 2009/04/02(Thu) 06:18 No.38
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池住義憲は「自衛隊イラク派兵差止訴訟の会」代表で(この会は勝訴によって解散されました)、国際民衆保健協議会(IPHC)日本連絡事務所代表

 自衛隊法に基づく海上警備行動での海自派遣と
         「海賊対処法案」は
        違憲・違法の疑いが強い

                  2009年3月14日
                       池住義憲

 昨日(3月13日)、政府は安全保障会議と閣議で、ソマリア沖の海賊対策のため、自衛隊法に基づく海上警備行動で海上自衛隊の「派遣」を決定しました。これを受けて浜田防衛相は海上警備行動を発令し、本日14日、広島県呉市の海上自衛隊呉基地から2隻の護衛艦(いずれも艦船内に死体安置所が設置されている)が、市民の反対を押し切ってソマリアへ向けて出航しました。また政府は13日の閣議において、海賊対策で自衛隊「派遣」を随時可能にする「海賊対処法案」を決定し国会(衆院)に提出しました。6月3日の通常国会会期末までに成立を目指すとのことです。

 これを受けて、昨日(13日)、愛知県弁護士会はいち早く、海上警備行動の発令及び海賊対策新法に反対する『会長声明』をだしました。ご了解を得て、以下に貼付けて送信します。憲法・法律からみて、どこが、なぜ、どのように違憲・違法なのか、明確に指摘しています。ソマリア問題については、前回1月末発信のメール通信(自衛隊イラク派兵差止訴訟名古屋弁護団と同全国弁護団連絡会議の抗議文など)でも書き送っています。合わせてお読み頂ければより理解が深まると思います。両方の「メール通信」とも、よければ各地域での学習会などでご活用ください。(前回『メール通信』を未受信、または再受信ご希望の方はご遠慮なくご一報ください → ikezumi@mtb.biglobe.ne.jp)

 問題への対処は、問題への正しい理解が必須です。ソマリア沖の海賊問題は、「陸」の問題です。「海」で起こっている海賊という行為は、「陸」の問題から生じた犯罪です。従ってソマリア沖の海賊問題への対処は、「陸」での問題への取り組みなしには解決しない。軍事力で一時的に抑える「軍事対処療法」では、問題解決にならないどころか、状況の悪化を招きます。

 ソマリアは、1960年にイタリア・イギリス二カ国による植民地支配(分割支配)から独立。以降30年間、北部イサク氏族中心のソマリア国民運動、中部ハウイエ氏族中心の統一ソマリア会議、南部マレハン氏族中心のソマリア国民戦線、これら三者による三つ巴の権力争いが続きました。それぞれの武器の多くは、東西冷戦時に米ソ両国が供与したものです。1991年から各武装勢力は内戦状態に突入。以後今日までの18年間無政府状態が続き、中央政府が存在しない破綻国家状態となっています。

 こうしたなかで、武器を持っている者(強盗集団)は、武器を持っていない者の食料奪う。その結果飢餓が広がり、餓死者が続出。武器を持っていない者の多くは、食料不足からやむを得ず国を捨て、対岸のイエメン、隣国ケニアへと脱出(計約100万人)を余儀なくさせられる。武器を持っている者は自らの生存のために武装強盗団となって「海」へ出て、海賊行為を行う。さらに武装グループに限らず、生活に困窮した漁民・元漁民が生活のための資金稼ぎとして海賊行為が広がっていく・・・。状況悪化の一途をたどって今日に至っています。

 ではどうしたらいいか。以下の「声明」の最後「3.海賊行為の取締のあり方」をご覧ください。「本来警察権により対処されるべきもの」であること、「沿岸諸国の沿岸警備体制を確立することによって解決を図る」ことは私もまったく同感です。さらに(3)項で指摘している徹底した「非軍事アプローチ」こそ、私が過去35年間のNGO活動経験で確信したものです。

 結論先にありきで法を逸脱して一方的に法を拡大解釈しては、いけない。詭弁を弄して誤魔化してはいけない。このままでは、法治主義国家が崩壊する。ここす数年の政府の動きは、それ程深刻なことであると思う。

【特別情報!】
   ↓
『自衛隊のイラク派兵差止訴訟 判決文を読む』(川口創・大塚英志著、角川書店、1,500円・税別 ISBN:978-4-04-885016−2)が出版されました。昨年4月17日に出された歴史的な名古屋高裁イラク派兵違憲判決、誰にでもわかるように、川口さん(訴訟弁護団事務局長)と大塚さん(まんが原作者・訴訟原告)お二人の対談が本になりました。とても解り易い。是非お近くの書店で購入ください。(印税はイラクの子どもたちを支援する団体に寄付されます)


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海上警備行動の発令及び海賊対策新法に反対する会長声明

             2009(平成21)年3月13日
           愛知県弁護士会会長 入谷正章
                                 
 本日、浜田防衛大臣は、ソマリア沖海賊対策のために、自衛隊法82条に基づき海上自衛隊をソマリア沖に派遣する海上警備行動を発令した。
 また、本日、政府は、海賊対策のため自衛隊を海外へ随時派遣する根拠法となる新法(以下、海賊対策新法という)の法案提出を閣議決定し、近く国会に提出する見込である。海上警備行動の発令は海賊対策新法施行までの暫定措置と位置づけられている。
 今回の海上警備行動の発令は、以下に指摘するように、憲法に違反する疑いが強く、自衛隊法による制約すらなし崩しにするものである。
 また、自衛隊派遣を所与の前提とする海賊対策新法も憲法に違反する疑いが強いものである。

1 憲法違反のおそれ

(1) 自衛隊の活動は、憲法9条の趣旨に沿って「自衛のため」の範囲内に止められるべきことが大原則である。しかるに、今回の海上警備行動は、「自衛のため」の範囲を遙かに超えてソマリア沖まで海上自衛隊を派遣するものであり、憲法9条に抵触するおそれがある。

(2) 自衛隊が派遣されるソマリア沖は、国連安保理が、各国に対して武力行使を含む「必要なあらゆる措置を講じること」を認める決議をなしている海域である。海賊行為の性格上、派遣された護衛艦は直接海賊船に対峙する可能性に常にさらされる。したがって、「非戦闘地域」への派遣を前提としてきた従来の自衛隊海外派遣に比べ武力による威嚇さらに武力行使に至る危険は格段に大きく、憲法9条1項に違反するおそれが強い。

(3) ソマリア沖では、EUを中核とする軍事作戦「アトランタ」が展開されているほか、米海軍組織である合同任務部隊151が新設され展開中である。こうした海域における自衛隊の活動が各国軍の作戦行動とどのような関係になるのかは明らかにされておらず、これら軍事作戦との関係如何によっては、憲法の禁じる集団的自衛権の行使に及ぶ危険性も否定できない。

(4) 先の自衛隊イラク派遣では、防衛省は自衛隊の活動について、国民及び国会に対して重要な情報を開示しなかった。このため大半の国民が、名古屋高等裁判所によって航空自衛隊の活動には憲法9条1項が禁じる武力行使に該当する活動が含まれるとの判断が示されるまで、自衛隊のイラクでの活動の実態を知ることができなかった。このような秘密主義のもとで、海上自衛隊をソマリア沖に派遣すれば、その活動に対するシビリアンコントロールは事実上不可能であり、自衛隊が武力による威嚇、武力の行使に及ぶ危険性を抑止することはできない。

2 自衛隊法違反

 自衛隊法82条による海上警備行動は、同法3条1項に規定された「必要に応じて公共の秩序の維持に当たる」とする任務を具体化したものであり、その行動範囲は、領海の公共の秩序を維持する目的の範囲内に止まるべきものである。自衛隊の海外任務は自衛隊法3条2項により、防衛の任務に支障を生じない限度において、武力による威嚇・武力行使に当たらない範囲で、別に法律を定めることを要するとされている。
 海上警備行動による自衛隊のソマリア沖派遣は、自衛隊法3条1項の「公共の秩序の維持」の範囲を世界大に拡大し、自衛隊法3条1項の任務の限定をなし崩しにするものであり、自衛隊法に明確に違反している。

3 海賊行為の取締のあり方

(1) 海賊行為等は基本的に犯罪行為であり、本来警察権により対処されるべきものである。したがって、第一義的には海上における警察権行使を含む海上の安全・治安の確保の活動を任務とする海上保安庁の任務である。
 ソマリア沖にまで海上保安庁の任務とすべきかは慎重に検討する必要があるが、少なくとも海上保安庁による対応の検討を省いて、いきなり海賊取り締まりを自衛隊の海上警備行動の適用対象とするのは、自衛隊法と海上保安庁法との法的検討が十分でなく、余りにも拙速でかつ不適切である。

(2) そもそも、ソマリアの海賊問題は、沿岸諸国の沿岸警備体制を確立することによって解決を図ることが望ましい問題である。わが国には、マラッカ海峡の海賊問題について、近隣諸国の沿岸警備能力の向上と諸国間の協力体制の構築を主導して、海賊事犯を顕著に減少させた実績がある。外務省自身がこの取り組みが国際的に高い評価を受けたと述べており、その蓄積を生かす方向で貢献することがこの問題に対する最も現実的で効率的な寄与のあり方である。

(3) さらにはソマリア海賊問題の背景には、内戦状態下での経済状態の悪化、国民生活の疲弊、中央政府の機能不全という同国特有の異常な状態が存する。真に求められるのは、軍事協力ではなく、人道支援協力・経済支援協力・技術支援協力である。
 非軍事による恒久平和主義の立場に立つ日本国憲法は、国際社会においてわが国がそうした非軍事アプローチをこそ主導することを求めていることを確信するものである。

4 結論

 よって、当会は、法律家の立場から、ソマリア沖に自衛隊を派遣する海上警備行動の発令及び自衛隊の海外派遣を所与の前提とした海賊対策新法に、強く反対する。

以上

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